火のないところに
夜の世界に無くてならないものは
噂話だ
人間、特に日本人は噂や
ゴシップが大好きだ
核兵器が作られたって
テロが起きたって
人が死んだって
それと同じくらいの記事で
芸能人の恋愛事情や失敗談を
取り上げる
病気的な陰湿さを感じてしまう
日本全体がそんな感じなんだから
場末なんかもっと酷い
ひとの噂も75日なんて言うが
365日毎日噂が飛び交っているのが
実情である
情報化社会になってからの
汚点だと僕は思う
それをアテにみんな酒を飲み
ある事ない事を言うのだ
その噂は雪だるま式に大きくなって
人を苦しめる
ひきこもりが増えるのも
わかる話だ
そんな、会話を聞いたり聞かなかったり
バーテンダーは大変だ
火のないところに煙は立たぬが
非のない人の噂は立ってしまう事もある
嘘か誠か
己の心の中で処理して欲しいものだ
みざる、きかざる、しゃべらざる
バーには毎日いろいろな人が来る
定番の書き出しだけど
いろいろな人のキャラクターや性格を
素早くキャッチする事が
バーテンダーの腕の見せ所だと考える
しかし、相手は酔っていたり
シラフだったり
お酒を飲む理由も様々で
一人の人間を取ってみても
7種類くらいの性格がある
無くて七癖、まさにその通りである
飲むと寂しくなる人や
怒る人、笑い転げる人だっている
毎年この時期、師走になると
クリスマスに怯える人々も出てくる
僕はいち早くその人達の状態を捉え
空気の読める会話、あえて読まないとか
数少ない技を駆使して
その場を見繕う
バタバタバーテンダーだ
この前お客様にも言われた
君はいつもバタバタしているな?
落ち着いて喋ろうよ!と、
よっぽど、このお客様の方が
僕の心を理解し、掴んでくれた
だけど、その内飲んでいると
そのお客様も変貌を遂げる
また、バタバタと僕は悪あがきを始めた
毎日酔っ払いの相手なんて大変ね
なんて言われる事もある
そりゃあ大変だよ
僕も酔っ払いの一員だもの
酔った自分のコントロールが
一番大変だと感じる今日この頃でした